【整備場駅】かつてこの地に存在した航空機の整備場の名残
東京モノレールで最も乗降客数の少ない駅
整備場駅。
その名を聞いて、無機質な印象を受けるかもしれない。
だが、実際に訪れてみると、この駅はどこか懐かしさが感じられる。
東京モノレールで最も乗降客数が少ないこの整備場駅は、
羽田空港の敷地内にあるにもかかわらず、観光客の姿はほとんどなく、
まるで時間から取り残されたような静けさがある。
新整備場駅への移転とその影響
整備場駅は、1967年(昭和42年)3月20日に「羽田整備場駅」として開業した。
当時、沖合展開前の羽田空港は、当時は現在の天空橋駅あたりに旅客ターミナルがあり、
ターミナルに近い距離に整備場があった。
しかし、1993年、現在の新しいターミナルビルの開業とともに、
主要な整備施設は3つ先の「新整備場駅」のエリアに移転。
こうして、整備場駅はかつての賑わいから遠ざかるこことなり、
どことなく寂しげで儚げな雰囲気を漂わせている。
現在、駅周辺に立ち並ぶのは航空関連の施設が中心で、
利用者の多くは
その関係者だ。
駅周辺には一般客向けの路線バス乗り場・タクシー乗り場などはなく、
一般向けの商業施設もコンビニ程度と少ない。
人によっては、
どこか忘れられた場所のような印象を受けるかもしれない。
駅の改札は一つだけ。反対側には海老取川が流れ、
その先にはヤマト運輸の巨大物流施設「羽田クロノゲート」がそびえ立つ。
使われなくなった施設のいくつかは、今でも一部取り壊されずそのまま残され、
以前は「タモリ倶楽部」でも紹介されたことがあるという。
駅利用者が少ないからこそ、
整備場駅は東京の駅とは思えないほどの、広い空が印象的だ。
ノスタルジックな時間と夕焼け
夕暮れ時、整備場駅は特別な表情を見せる。
茜色に染まる空と、その中を滑るように飛ぶ飛行機の姿。
その光景を眺めていると、ふと、この場所が目撃してきたであろう時の流れの速さと、
変わらない空の美しさに思いを馳せずにはいられない。
整備場駅は、単なる交通の拠点ではなく、
人々の記憶と、空港の歴史が重なり合う場所だ。
この駅を訪れるたびに、
私たちは過去と現在、
そして未来をつなぐ、声なき物語に触れることができるだろう。
アルバム、都市の旋律
この、時が止まったかのような整備場駅の風景に、ぴったりの一曲がある。
私たち流れるイオタのアルバム『都市の旋律』の中で数少ないヴォーカル曲、「整備場パッシングバイ (feat. Rica)」だ。
雨に煙る整備場の車窓を眺めながら、モノレールは空港へと向かっていく。
それは、日常から非日常へ、しがらみから自由へと移っていく心の軌跡を描いている。「パッシングバイ(Passing by)」というタイトル通り、過ぎ去っていく風景や時間、そしてその先にある未来への思いを、Ricaの透き通るような歌声が描き出す。
インストゥルメンタルが中心のこのアルバムの中で、この曲が持つ「言葉」の力はやはり特別だ。
この駅をただ「通り過ぎる」だけでなく、この歌と共に風景を味わうことで、
モノレールの旅が、あなただけの物語に変わっていくかもしれない。
⇩アルバム『都市の旋律』 トラックリスト⇩
01 浜松町、動き出す街の鼓動
02 天王洲アイルの静寂
03 大井競馬場デイライト
04 流通センターを抜けて
05 昭和島ノスタルジー
06 整備場パッシングバイ (feat. Rica)
07 天空橋アクロス
08 第3ターミナル、ニューヨークへ
09 新整備場ライト&ダーク
10 第1ターミナルの雨音 (feat. 松崎 和訓)
11 羽田空港第2ターミナル – 旅の終わりと始まり (feat. 小畑 仁)
Spotifyなどでぜひチェックしてほしい。
▶︎配信リンク: https://lnk.to/9tAPyv1m
Spotify(クリックすると音楽が流れます)
雨の日のフライト前なら、なおのこと、
心に響くものがあるかも知れない。
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