【あなたはどっち?】人間関係が楽になる心理学。未来に投資する遅延報酬型と、今を味わう即時報酬型
こんにちは。スタジオイオタ(studio iota LLC.)代表の前田紗希です。
あなたの周りにもいませんか?
すごく計画的で、将来のためにコツコツ頑張れる人。
その一方で、いつも今を全力で楽しんでいて、ちょっと先のことは、その時考えればいいやって感じの人。
特に、恋愛や友人関係といった人間関係で、このタイプの違いはすれ違いの原因になりがちです。
- なんで将来のことを真剣に考えてくれないの?
- そんなに先のことを心配して、今が楽しくないの?
このすれ違い、心理学で言う
遅延報酬型(ちえんほうしゅうがた)
即時報酬型(そくじほうしゅうがた)
の違いなのかもしれません。
どっちが良いとか悪いとか、そういう話じゃなくて。
自分や相手の思考のクセを知るだけで、人間関係のモヤモヤが晴れて、心がちょっと軽くなる。
そんなお話です。
⏰ 未来を選ぶ? 今を選ぶ?
すごく簡単に言うと、こんな感じです。
遅延報酬型とは
未来の、もっと大きな幸せのために、今の楽しみをちょっと我慢できる人。
将来を見据えて、コツコツ種をまくイメージです。
いわば、未来の自分への投資家のようなもの。
即時報酬型とは
不確かな未来より、今すぐ手に入る確かな幸せを大切にするタイプ。
今この瞬間の満足感を味わうことを重視します。
いわば、現在を最大限に楽しむ生活家といえます。
有名な「マシュマロ・テスト」(目の前のマシュマロを我慢できたら、後でもう一つもらえる実験)を
イメージすると分かりやすいかもしれません。
この違いが、人付き合いの仕方にどう現れるのでしょうか。
本音でぶつかるのは「誠実さ」? それとも「攻撃」?
遅延報酬型は、人間関係を「練習」と考える 🤝
遅延報酬型の人にとって、人間関係で起こる様々な出来事は、
より良い未来の人間関係を築くための練習や投資と捉えられます。
このタイプの人の安心は、「自分の人生は、自分の手で舵取りできる」という、未来の見通しが立つことから生まれます。
だから、面倒な話し合いや気まずい喧嘩といった短期的なコストも、
将来もっと良い関係を築くための必要経費として、ちゃんと向き合おうとします。
過去の辛い失恋だって、ただの失敗ではありません。「ああ、自分はこういうことで傷つくんだな」って自分を知るための、大切な学びの機会。
その痛みを知っているからこそ、次はもっと人に優しくなれたり、同じ失敗を繰り返さなくなったりする。
心の筋トレみたいなものですね。
困難から回復し、しなやかに乗り越える力、いわゆる
レジリエンス (Resilience)
を育んでいくのです。
即時報酬型は、人間関係を「心地よさ」で選ぶ ❤️
即時報酬型の人にとって、人間関係で一番大事なのは今の心地よさ。
このタイプの人の安心は、理屈じゃなくて、手触りのある確かなものから生まれます。
集めているお気に入りのアイテムとか、いつも変わらない仲間と過ごす楽しい時間とか。
将来の漠然とした不安よりも、「今、面倒な話し合いをすること」や「今、欲しいものを我慢すること」の方が、
はるかにリアルで、避けたい恐怖なのです。
だから、意見がぶつかったり、気まずい空気になるのは、すごく苦手。
将来の関係がどうなるかより、まず今の場の平穏を守りたい。
だから、つい自分の意見を抑えたり、問題から目をそらしたりしちゃうことも。
そうした人たちにとって、傷つくことはシンプルにダメージ。
わざわざダメージを受けにいくことは、心の強さにつながるどころか、
むしろ自身の心の弱さ、いわゆる
※バルネラビリティ (Vulnerability)
を刺激されるだけの、避けたい出来事なのです。
※自己の感情や弱さをさらけ出すこと、他者とのつながりを深めるために必要な勇気。
なぜか話が噛み合わないワケ💻
このように、大切にしているものや時間の捉え方が違うから、
お互いの善意がすれ違ってしまうことがあるのかもしれません。
即時報酬型の「今さえ良ければいい/その時々の気分を良くするか、悪くするか」というスタンスは、
将来のリスクをわざわざ増やしているように見えて、ちょっとハラハラしちゃう。「なんでちゃんと準備しないんだろう?」って。
でも、将来のために今を我慢して、というアドバイスは、相手からすれば「今の楽しみを奪う、意地悪な人」に聞こえてしまうかもしれません。
遅延報酬型のストイックな生き方は、なんだか窮屈そうに見えます。
未来のために、いつも何かを我慢して、努力して。「そんなに頑張って、人生楽しいのかな?」って、
純粋に不思議に思うのです。
だから「もっと気楽にいこうよ」って声をかけるけど、それは相手にとって「積み上げてきたものを全部捨てろ」と言われているように聞こえるかもしれません。
お互いに、相手を思って言っているのに、全く逆の意味で伝わってしまう。
なんだか切ないですよね。
📝 あなたはどっち?簡単な自己分析
ちなみに、あなたはどちらの傾向が強いですか?
- 恋人や友人と、将来のための真剣な、ちょっと面倒な話し合いもできる方だ
- 気まずくなるくらいなら、自分が我慢した方が楽だと思う
- 過去の辛い経験も、今の自分を作った糧になっていると思う
- 人間関係のトラブルは、なるべく関わらずにやり過ごしたい
1と3が多ければ遅延報酬型、2と4が多ければ即時報酬型寄りかもしれませんね。
まとめ
遅延報酬型の人は、未来を築く力があるけれど、
少しストイックになりすぎて、今を楽しむことを忘れがち。
即時報酬型の人は、今を明るくする才能があるけれど、
問題を先送りにして、未来の自分が困ってしまうことも。
どちらのタイプも、行き過ぎると少し生きづらくなってしまうのかもしれません。
大切なのは、まず自分はこっちのタイプなんだなと知り、
相手は違う思考タイプで動いているんだなと想像してみることです。
でも、話はそう単純ではないのかもしれません。
私たちの行動原理は、いままで生きてきた経験の層が重なってできる、その人だけのストーリーです。
何を「信頼」し、何を「克服」しようとしてきたかという、
人生の根本的な戦略が、深く関わっています。(学生時代と社会人での行動の「逆転」が起こったりもします。)
世の中には、1+1=2のように単純に理解できることばかりではありません。
特に人間関係はそうです。
全てをゼロかイチか、善か悪かで判断しようとすると、自分とは違う考えの人を許せなくなり、
不寛容な空気が生まれてしまうのかもしれません。
だからこそ、急いで答えを出さずに、分からないものを分からないまま、心に留めておく力、
いわゆる
ネガティブ・ケイパビリティ
が、これからの時代には求められるのかもしれません。
あの人の行動が理解できない。
それで、いいのだと思います。
「なんで?」と思っていた相手の言動が、今日の話を通して、少しだけ違った景色に見えてきたなら。
そして、ふと自分の心のバランスを見つめ直す、良いきっかけになったなら、とても嬉しいです。
※この記事は、特定の個人の実例やケーススタディではなく、心理学の一般的な概念を、日常生活のヒントとしてご紹介するものです。何かを断定したり、専門的な助言をしたりする意図はありません🎵
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