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私達が日々暮らしている街には、車や電車の騒音、人々の話し声など、ありとあらゆる音が溢れ返っています。

身の回りから聞こえてくる音に煩わしさを感じたり、考え事や仕事に集中したいなと思ったとき、

心強い味方となってくれるのがBGMと呼ばれる音楽です。

今回は、そんなBGMが一体どのような音楽なのか、現代に至るまでどのような道のりを辿ってきたかを探ってみましょう。

 

BGMとはどのような音楽のこと?

BGMは「Background Music」の略で、背景音楽と呼ばれる音楽のこと。

映画、テレビ番組、ゲーム、レストランやカフェなどの公共の場で流れる音楽は、全てBGMの仲間です。

 

ジャンルとしては特定の音楽のみを指すわけではなく、例えばクラシックやジャズ、ポップス、ロック、エレクトロニックミュージックなど、さまざまな音楽がBGMと呼ばれています。

インストゥルメンタル(楽器音のみで作られた歌詞のない音楽)も、よくBGMとして活躍している音楽の一種。「インスト」の略称を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

 

BGMは、映画などで特に印象的なシーンを盛り上げたり、自宅や職場で集中力を高めたりするために使われます。

じっくり鑑賞することを目的とした音楽作品とは異なり、リラックス効果や作業効率の向上など、ある特定の機能を果たすための「応用音楽」とも呼ばれているのです。

 

BGMの歴史について

BGMが人々から本格的に注目され始めたのは、20世紀初頭のこと。

ここでは、BGMのもつ力がどのように活用され、活躍の場を広げていったのかをご紹介します。

 

工場で働く人々を応援する「生産音楽」の広まり

めざましい勢いで技術革新が進められていた20世紀初頭、音楽のさまざまな機能や活用方法についての研究がスタートします。

特に、工場で働く人々の作業効率をアップさせたり、心身をリラックスさせたりする「生産音楽」としての活用が広く注目されました。

1934年には、アメリカで設立されたミューザック社が、企業向けの環境音楽レコードを販売。

さらに第二次世界大戦中には、工場労働者の疲労を和らげるために

イギリスの放送局BBCが音楽番組を制作するなど、“働く人々を応援する音楽”のパワーは当時から認められていました。

 

長時間のルーチンワークが求められる工場では、BGMが労働者の集中力を高め、ストレスを和らげるための重要な役割を担っています。

快適な労働環境を生み出すための要素として、工場とBGMは切っても切り離せない関係であることがわかりますね。

 

技術の進歩によってさらにBGMの活躍の場が増えていった

第二次世界大戦後、テープが普及したことでBGMはより幅広い場面で活躍するようになっていきます。

日本では、1957年に国内初のBGM配給会社(日本音楽配給株式会社)が設立され、

裏と表で合計4トラック録音可能なオープンリールテープを使ったサービスを始めました。

 

また、1970年代以降、FM放送が本格的に普及したことで、綺麗な聞き取りやすい音質でBGMを楽しめるようになります。

その後も、CDの登場を筆頭にデジタル技術はめざましい勢いで進化。

より高音質での録音ができるようになっただけでなく、取り扱いや保管も楽になり、

BGMは生活に身近な音楽として親しまれるようになっていきました。

 

現在は、YouTubeやApple Music、Spotifyなどさまざまな動画・音楽配信サービスを利用して、

好きな場所で世界中のBGMを聴くことができます。

 

さまざまなシーンで活躍する万能選手!BGMの効果を紹介

BGMにはさまざまな効果があり、場所や目的に応じて使い分けることができます。

特に注目されているのが、以下の3つの効果です。

 

集中力をアップさせる

BGMは、仕事や勉強などをする際に集中力を高めてくれる効果があります。

例えば人が多いオフィスで仕事をしているとき、パソコンの操作音や話し声などが聞こえてきて、作業に集中できない!と感じた経験はないでしょうか。

自宅やカフェで勉強をする際も、周囲には多くのノイズが溢れています。

BGMは、それらのノイズをカットする「マスキング効果」がある音楽。

同じ周波数の音が相殺され聞き取りにくくなることで、作業を妨げる音が耳に入りにくくなり、集中力を高めることができます。

 

集中を促すBGMとしては、ジャズやクラシックなどの比較的落ち着いた音楽や、自然音、α波やΘ波を含む音楽がおすすめ。

ぜひ活用してみてください。

 

リラックスやストレス軽減を促進する

BGMは脳や神経のさまざまな領域に作用する音楽なので、心身をリラックスさせたいときにもぴったり。

流れてくる音楽に集中することで、快楽ホルモンの一種であるドーパミンが分泌され、

気分が明るくなったり、心がホッと温かくなったりする効果があります。

 

規則的な中に不規則なゆらぎが混ざっている「1/fゆらぎ」を応用したヒーリングミュージックは、

自律神経を整え、気持ちを穏やかにしてくれる音楽として人気です。

また、病院や介護施設の中には、手術や病気に対して不安を抱える患者をケアするため、

音楽を活用する「音楽療法」を積極的に取り入れているところも。

 

リラックス効果を高めたいなら、ピアノやヴァイオリン、オルゴールなどの音色が使われた穏やかなBGMを選んでみましょう。

 

特定のシーンや空間を演出する

映画やドラマ、テレビ番組のワンシーンを演出する要素としてもBGMは活躍しています。

恋人同士が想いを伝え合うシーンではロマンチックな音楽、刑事が逃げる犯人を追うシーンでは緊迫した雰囲気の音楽を無意識のうちに求めてしまう人も多いはず。

BGMは、ここぞ!といった場面をいっそう盛り上げてくれる、陰の主役的ポジションも担っているのです。

 

また、特定の空間に流すことで、その空間に合った環境を作り出すこともできます。

伝統あるフレンチレストランならクラシック音楽、ゆったりリラックスできるカフェを目指したいならスローテンポのジャズなど、コンセプトに合ったBGM選びはとても重要です。

 

まとめ

人間の感情や行動に与える力が認められ、職場や病院、レストランなど活躍の場を広げていったBGM。

技術の進化によって身近な存在となったBGMを効果的に取り入れることで、毎日の生活をさらに過ごしやすく快適なものにしてみてはいかがでしょうか?

 

ライター : Nishiki


参考文献:小川 博司/庄野 泰子/田中 直子/鳥越 けい子 . 波の記譜法: 環境音楽とはなにか . 時事通信社 , 1986
参照:オフィス事業者ナビ「工場で働くとき、BGMは必要?その効果とは」
タッグアルファ「オープンリールテープからCDへ
日本ラジオ博物館「FM放送の始まり
サワイ健康推進課「心と体を癒す「音楽」の力 ~音楽を活用したストレスケア~

 

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