「基礎練」って、ほんとうに必要?レッスン市場で感じた“温度差”
こんにちは。スタジオイオタ(studio iota LLC.)代表の前田紗希です。
私は現役のミュージシャンであり、音楽関連の事業を運営している立場でもあります。
なので、「音楽レッスン」というテーマを、演奏者としてだけでなく、
サービス提供者として客観的に見つめることも多いのです。
今日は、そんな現場で感じた「レッスン市場とプロ側の意識のズレ」について、
少しだけお話ししたいと思います。
特に、音楽教室をビジネスとして運営している方や、
現場で教えるプレイヤーにとっても、何かヒントになればうれしいです。
「楽しく弾きたい」ニーズは、実はとても強い
レッスンを受けに来てくださる方のなかには、人生経験豊富な年配の方も多くいらっしゃいます。
その多くは「楽しく好きな曲を弾けるようになりたい」という気持ちが出発点であり、「上達したい」というより「音楽に触れる時間そのものを楽しみたい」という方が少なくありません。
これはとても大切なニーズです。
音楽って、本来は心を豊かにするものであり、
年齢に関係なく自由に楽しめるものだと、私自身も思っています。
でも、プロはつい「基礎」を重視してしまう
一方で、教える立場にある私たち(特に現役プレイヤー)は、「上達のためには基礎練が不可欠」と思ってしまいがちです。
私自身も、基礎の大切さを日々実感しているし、
それがあるからこそ自由に表現できる、という考えを持っています。
だからこそ、生徒さんにも「ちょっと地味だけど、ここを乗り越えたら世界が広がるよ」と思いながら、
丁寧に基礎練習を提案したりします。
でも、ここに、じつは“温度差”があるのかもしれません。
レビューの高さは、むしろ「ニーズの一致」から生まれる
あるときふと気づいたのですが、
- この先生は私のやりたいことを分かってくれる
- このレッスン楽しい
と感じていただけたときのほうが、
結果として満足度もレビュー評価も高い傾向があります。
つまり、「基礎を丁寧に教えること」よりも「相手の望む体験を提供すること」のほうが、
マーケットにおいては価値があるケースもある、ということです。
もちろん、これは“どちらが正しいか”の話ではありません。
生徒さんのゴールがどこにあるかによって、必要なサポートは変わってきます。
音楽を届ける方法はひとつじゃない
この気づきは、私自身にとっても学びでした。
長く音楽をやってきたからこそ、「伝えたいこと」はたくさんあります。
でも、それを“こちらの熱量”だけで押しつけてしまうと、
相手の「楽しい」という気持ちに水を差してしまうこともある。
ビジネスとしてサービスを提供する以上、
目の前の人が望んでいる体験に耳を傾けること、
そしてそこに自分の持っている知識や技術をどう活かすか。
そのバランスがとても大事だなと、改めて感じました。
「上達」だけがすべてじゃない、という視点
音楽を教えるということは、ただ技術を伝えるだけじゃなくて、
その人の暮らしの中に、少しだけ豊かな時間を届けることでもあるのかもしれません。
- こうなりたい
- こんなふうに弾いてみたい
そんな気持ちに寄り添いながら、自分自身が培ってきた経験や視点が、
誰かの“音楽の楽しみ”にそっと役立てたら――
そんなふうに思いながら、日々この仕事に向き合っていけたらと思っています。
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