IOTA-LOG

おとと、たびと、しごと

こんにちは。スタジオイオタ(studio iota LLC.)代表の前田紗希です!

街を歩いてて「なんかこの街好きだな」って思うこと、ありませんか?

同時に、どこか「明るいな」「ちょっと重たいな」と感じることがあります。

 

それは単純に景観の話じゃなくて、

すれ違う人の表情とか、街全体の空気感とか、流れる時間のリズムみたいなものが

全部混ざり合って

キャッチする感覚

だと思うんです。

 

今回は、

大井町線沿いの街

等々力・尾山台・九品仏の

暗渠(あんきょ)を巡りつつ、

地元の人たちに話を聞いて街の「明度」について考えてみました。

意外な発見がいっぱいでした!

大井町線沿いに残る、線路脇の暗渠へ

暗渠(あんきょ)とは、かつて川や水路だった場所が、現在では地面の下に埋められたり、蓋をされたりして、外からは見えなくなっている水の通り道のことです。

 

地形に刻まれた水の記憶!大井町線と暗渠の関係

実は大井町線って、川の流れと密接に関係してるんです。

かつて東京には、大小さまざまな水路が網の目のように広がっていました。

その多くは都市化の過程で蓋をされ、現在では「暗渠(あんきょ)」として地上からは見えなくなっています。

大井町線沿いにも、そうした暗渠がいくつか残されています。

 

たとえば、この沿線には呑川(のみがわ)という東京湾に注ぐ河川の支流がいくつも存在していて、

そのひとつ、九品仏川(くほんぶつがわ)は現在ほとんどが暗渠化され、「九品仏川緑道」として整備されています。

自由が丘の定番スポットとして、書籍やウェブでもよく登場するこの緑道。その背景には、かつての川筋が地形として残っていることが少なくありません。

 

地形に注目すると、尾山台小学校の南側から浄真寺にかけての低地など、かつての川の痕跡が見えてきます。

また、大井町線の線路脇には今も水路が残っている場所があり、

文献によると数年前まで尾山台駅の構内にも暗渠が流れていたなんて記録もあるんですね!

尾山台駅前、「さぼてん」の横にある小道。この先に、ちょっとした“答え”が待っています

 

このように、等々力や尾山台一帯の地形には、かつて川が流れていた痕跡がうっすらと残されているんです。

こうした「都市の構造とは異なる水のネットワーク」は、現代の都市地図では見えにくいかもしれません。

ですが、道の起伏や緑道の配置などに、その名残を感じ取ることができます。


等々力駅周辺、水系のレイヤーを辿ると見えてくるもうひとつの地形「逆川」

 

何気ない道や風景の中に、かつての水の流れが静かに息づいている。

そんな発見も、暗渠巡りの醍醐味です!

この暗渠巡りの詳細については、いつかブログでじっくり書かせてもらう予定なので、お楽しみに🎶


かつての川跡が緑道や細い路地として形を変えています


◼︎過去記事

⑶【暗渠とは】裏原宿の地下を川が流れてる?!キャットストリートから渋谷川を巡る東京街歩き。

 

等々力駅、自然と静けさが共存する、守られた街の空気感

等々力渓谷、すごいですよね!

都内にこんな場所があるなんて。

 

でも街全体としては、なんとなく少し落ち着いた、あるいは少し重ためかな?って印象を受けました。

地元の人に聞いてみると、駅の利用者は単身の方がメインで、多くの方が足早にササッと歩いていくのだとか。

 

あ、これ面白い話があって。

マーケティングデータで「尾山台駅よりも1分間の歩数が多い」っていう数字が出てるんですって。

確かに言われてみれば、みんな前を向いて歩いてる。

 

地元の地主さん筋が教えてくれたんですが、ここは東京都の風致地区に指定されていて、

渓谷を守るために、大型チェーン店はあえて入れないようにしているそう。

自然との共生を大切にしてるんですね。

 

等々力で美味しいコーヒーが飲めるカフェ

等々力渓谷を見た後は、美味しいコーヒーでひと息つくのもいいですよね☕️

街歩きの途中で見つけた、コーヒーが美味しいカフェを2軒ご紹介!

 

YETI ROASTERY COFFEE

等々力駅近くのネパールコーヒーカフェ🇳🇵お一人の方もお友達同士も、デートでも、どんなシーンでも居心地よく過ごせるお店です。 テラス席には海外の方の姿も多くて、なんだか旅行気分も味わえます!

 

toe coffee

等々力駅から10分くらい歩いた場所にある、小さなお店。 地元の赤ちゃん連れの方や、ワンコ連れの方が立ち寄られてるイメージです。 ゆっくり長居するタイプのお店ではないですが、散歩の合間にサクッと美味しいコーヒーを楽しむには最適!

 

尾山台駅、やわらかな人の流れと暮らしやすさが広がる場所

尾山台駅を降りてすぐに目に飛び込んでくるのは、足元がきれいに整備された商店街です👣

ベビーカーを押すお母さん、犬の散歩中の人、子どもたち、おじいちゃんおばあちゃん。

みなさんゆったり歩いてて、なんだかホッとします。

 

印象的だったのが、知らない人同士でも会釈を交わしてること!

他人へのやわらかな関心みたいなものが、街の明るさを作ってるのかもしれません。

 

カフェの店主にお話をお伺いしたところ、

尾山台は図書館、花屋、コンビニ、生活に必要なお店がバランスよく揃ってて且つ、

足元がきれいに整備されているから、

どこに行こうかな〜って立ち止まってキョロキョロする余裕がある街でもあるそうです。

 

尾山台で美味しいコーヒーが飲めるカフェ

整備された歩道をつい歩き過ぎてしまいそうになる尾山台。

そんな時こそ、こだわりのコーヒーで贅沢な休憩タイムを☕️

 

讃 喫茶室

自家焙煎珈琲の丁寧なネルドリップが自慢のお店。
モノトーンを基調とした落ち着きある店内には、静かに流れるジャズ喫茶のようなBGM。
各席に電源もあって、建築家や学者など若い文化人も惹きつけているんだとか。1日が終わろうとするクールダウンにぴったりです。(通ってます)

 

Stone River coffee

尾山台駅から徒歩3分、一枚板の大きなテーブルに、楽器を改造したサイドテーブルというアートな空間。浅煎り中心の豆が多く酸味がしっかりしているとのこと。

ご主人は地元出身だそうで、街歩きの拠点にはもちろん、実はタロット占いもやっているそうです!(占ってもらった)

あとこの街、オーボンヴュータンとかあって、洋菓子のレベルが半端ないです🧁

 

九品仏駅、ちいさな発見が増えている街!

ここはちょっと複雑な街の背景があります。

かつての九品仏駅周辺の商店街は、正直「やってるけど、知らない人は来ないでね」みたいな、

ちょっと閉鎖的な空気があったそう。

それが街のトーンを少し重くしていたのかもしれません。

 

しかし、近年は、かつての地主が代替わりし、成城石井が入ったことで、

地域密着型のパン屋さんやケーキ屋さんなども受け入れられて、

少しずつ、新しい風が吹き込んでいる様子。(商店街の店舗数に対しては、むしろ多いと感じるくらい!)

 

犬の散歩中の方がかなり多く、地域に根づいた温かさを感じられます。

 

とはいえ、尾山台のように歩道がレンガ風に整備されているわけではなく、あっちに行ってみようかな、ここも気になる!と思わせる構造にはまだ至っていません。

でも、その変化の途中っていうのが、かえって発見が多くて楽しいのかもしれませんね。

 

九品仏で美味しいコーヒーが飲めるカフェ

九品仏を通過駅からカルチャーの目的地に変えたのって、

D&DEPARTMENTの存在が大きいのでは?と個人的に思うのですが、

今回は九品仏緑道沿いのカフェをご紹介!

 

CHILT CAFESTAND & CRAFT

自由が丘と九品仏のまん中あたり、九品仏川緑道沿いにある小さなカフェです。ホットサンドも焼き菓子もコーヒーも美味しい。
店名のCHILT(チルト)はくつろぐ、リラックスするなどの意味があるChill out(チルアウト)から付けられたみたいです。

暗渠でカフェという、ちょっと特殊な組み合わせも刺さります。

 

暗渠発見!見えない水の不思議な力

街歩き中、ひときわ目を引いたのが、冒頭でもお話しした暗渠(あんきょ)の存在。

九品仏緑道も実際に歩いてみると、世田谷区立ねこじゃらし公園から自由が丘方面へ続いてて、途中にカフェなんかもあります。

面白いのが、街灯の消灯時間に合わせて夕方に早めに閉まるお店があること。

日暮れとともに街が休む自然なリズムを感じました。

九品仏池があった公園「ねこじゃらし公園」。遊具類はなく、近隣の住民参加で企画が作られる。

 

暗渠特有のカーブとか、苔むした風景とか。

都市計画のまっすぐな通りとは全然違う味わいがあって、原宿のキャットストリートを思い出したりもします!

木道風の遊歩道。川跡がこの造りになっているのは珍しい

 

見えない水に、力をもらう

電車に乗ってると、どうしても街の表側しか見えなかったりしますよね。

ですが、実際に歩いて感じたのは、街の明度とは明るい・暗いという単純なものではなく、その街と自分とのフィット感のようなものだということ🤝

たとえば私は、暗渠の上に整備された緑道を歩いていると、水が見えていないのに、どこか力をもらっているような気持ちになることがありました。

それはまるで、水が見えないところで流れながら街にエネルギーを与えてくれているかのようです。

 

街が大切にしているものがあるからこそ、人もそこに集まる。

そして人の流れ、街の変容、ちょっとした時間の経過で街って大きく変わるんだなと実感しています。

そういった変わるものと変わらないものを、自分の足で確かめながら歩くのが、街歩きの楽しさなのかもしれません。

 

次のお休みは、あなたも知らない街をブラブラ散歩してみてはいかが?

きっと、自分だけの街の明るさが見つかるはず!

緑が丘駅、呑川本流緑道。都立大学、目黒区八雲を経由して世田谷区新町へ約3kmつづくルート

 

参考文献 本田 創(2021).『失われた川を歩く 東京「暗渠」散歩 改訂版』

 

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