パラノマサイトの音楽で巡る東京・墨田区。謎とミステリーの世界に誘う楽曲6選

昭和後期の東京都墨田区を舞台とし、9人の男女の群像劇を描いた
ホラー・ミステリーアドベンチャーゲーム「パラノマサイト FILE23 本所七不思議」。
物語を楽しむうえで欠かせないのが、
スクウェア・エニックスサウンドチームの岩﨑英則さんによる音楽の数々です。
生演奏にこだわって表現された昭和レトロな雰囲気や、
怪しげながらも美しいサウンドは、聴き手を一瞬で作品の世界に誘ってくれます。
今回、パラノマサイトの音楽と共に、
物語の舞台である本所七不思議ゆかりの地を散策してみました。
(一部本編の内容に触れているので、未プレイの方はご注意ください!)
謎と恐怖のはじまりを予感させる雰囲気がたまらない
JR錦糸町駅の南口から徒歩5分。
まずはパラノマサイトの「はじまりの地」とも言うべき、錦糸堀公園に到着しました。

穏やかで平和的な雰囲気の公園ですが、
ここでサウンドトラックから「Suspicion」を選んだ途端、
背後を振り向くのが怖くなるような、うすら寒い感覚がじわじわと広がり始めます。
Suspicionは、疑い、疑念などを意味する英単語。
登場人物達が七不思議や事件について推理をしているシーンや、
緊迫したやり取りをしているシーンなどで聴くことができる楽曲です。

錦糸堀公園を聖地巡礼のスタート地点にするなら、「Main Theme from “PARANORMASIGHT”」もおすすめ。
女声コーラスが印象的な楽曲ですが、前半部分はブルガリアンボイスを再現する音楽ソフト、
後半は歌手・作詞家のKOCHOさんの生歌と、それぞれ異なる歌声によって作り上げられています。

蘇りの秘術、呪い、七不思議…
といったオカルト要素が存分に散りばめられたパラノマサイトの世界へ
一瞬で引きずり込まれる、神秘的なサウンドは必聴です。
登場人物の内面にも思いを馳せつつ街歩き
今度はJR錦糸町駅から北へ向かい、大横川親水公園に架かる法恩寺橋へ。

このスポットで聴きたいのが、「Mocking Bop」。
法恩寺橋で初めて登場する私立探偵・櫂利飛太(かいりひた)の探索シーンなどで使われています。
ブラスやピアノ、ドラムなどが織りなすジャジーな雰囲気とリズムが心地よく、散策の足どりも思わず軽やかなものに。

曲名に含まれているMockingは、ふざける、からかうといった意味の言葉です。
また、Bop は、1940年代に生まれたジャズのスタイルBebop(ビバップ)が由来だと言われており、
現代ではノリの良い、踊りたくなるような楽曲といった意味のスラングとしても使われています。
飄々とした享楽的な面と、冷静かつ真摯に真実を追究する面をあわせもつ利飛太の魅力が詰まった楽曲です。
作品のテーマそのものを連想させるメロディ
錦糸町駅から両国駅へ電車で移動し、緑町公園に到着。

公園がある墨田区亀沢付近は、葛飾北斎の生誕地としても知られています。
緑町公園の周囲には、北斎の名を冠した通りや美術館がありました。


パラノマサイトの登場人物さながら、七不思議の謎も追いながら本所を散策したくなり、
ここで「Seven Mysteries」をチョイス。
おそらく、七不思議とそのまま訳すのであろうこの楽曲では、
たゆたうようなギターとピアノのメロディが少しずつ展開していきます。
時の流れや口伝によってさまざまに形を変えていき、その真相はあまり知られていないことも多い、
七不思議の謎めいた性質を表現しているかのようです。
いちど両国駅方面へ戻り、隅田川にかかる両国橋にも足を運びました。

足洗い屋敷の呪いの力を持つ青年・並垣祐太郎と、主人公・興家彰吾(おきいえしょうご)が遭遇する場所です。
作中では、川や流れる水がもつ霊的な力について語られる場面があります。
「Seven Mysteries」の静かに浮き沈みを繰り返すメロディは、川の流れにも似たものを感じました。
現実の音すら恐ろしく聞こえてくる音楽の魅力
両国橋から北へ進み、安田財閥の創始者・安田善次郎の屋敷跡である旧安田庭園にやって来ました。
隅田川の水を引き入れて造った、回遊式の日本庭園です。

静かな敷地内を散策していると、東京都内にいることを忘れてしまいそうになります。

作中で何度も登場するスポットですが、個人的に印象深いのが、
息子を誘拐事件で亡くした主婦・志岐間春恵(しぎまはるえ)と興家彰吾による、
緊張感に満ちた駆け引きのシーンです。
実際のシーンで流れるのが「Hazy Night」。
Hazyにぼんやりとした、霞んだなどの意味があるため、煙る夜といった訳し方もできそうです。
ひたすら繰り返されるうつろなメロディや、得体の知れないものがこちらへゆっくりと迫っているような重低音。

ゲームを遊びながら何度も聴いたはずなのに、
風に揺れる木の葉の音や、不意に背後から聞こえる他の来場客の足音すら
「なんか怖い……」と感じずにはいられませんでした。
駒形橋を一瞬で刑事ドラマの舞台に変えるサウンド
最後に足を運んだのが、隅田川沿いを北へ進んだ先に見えてくる駒形橋。

物語の中盤や終盤で登場するこの橋は、
青色のアーチや、レトロでおしゃれな意匠が目を惹きます。

橋のたもとまで辿りついた瞬間、心の中の自分が絶対にこの曲だと叫んだのが「Crime Busting With a Smile!」でした。
Busting が破る、逮捕するなどの意味をもつ英単語なので、「笑顔で犯罪取り締まり!」のようなニュアンスでしょうか。
捜査一課の刑事コンビ・津詰徹生(つつみてつお)と襟尾純(えりおじゅん)の捜査パートで使われているほか、
駒形橋でとある人物を追い詰めるシーンでも聴くことができます。

音楽を担当した岩﨑英則さん曰く、「Gメン’75」や「太陽にほえろ!」「宇宙刑事シャリバン」など、
昭和の刑事ドラマをオマージュしているのだそう。
ビブラートがたっぷり効いたいぶし銀のトランペットは、まさに「昭和の刑事ドラマ」感をこれでもかと盛り上げています。
途中でメロディを受け継ぐギターやストリングスの、情熱と冷静さをあわせもつ音色もたまりません。
悠々と流れる隅田川を背に、今にも逮捕劇が始まりそうな緊迫感を味わえました。
パラノマサイトの物語を辿るなら、ぜひ音楽と共に
下町情緒溢れる本所には、パラノマサイト本編でも描かれているとおり、
各地に七不思議と縁の深いスポットが存在します。
ただ歩くだけでも楽しめる魅力的な街ですが、作品の世界観をより深く堪能したいなら、
ガイドブック代わりに音楽を中心へと据えてみてはいかがでしょうか。
呪いや七不思議を巡る物語に迷い込み、登場人物たちと一緒に本所を歩いているような気分になれること間違いなしです。
<参照>
https://x.com/koch0/status/1636232938949054464
https://x.com/HidenoriIwasaki/status/1642004488792997889
【超ネタバレ】パラノマサイト開発スタッフとネタバレトーク座談会!!
【㊗️15万回再生】ジャズ史上最大の革命!ビバップ徹底解剖【どこよりも詳しく解説するジャズの歴史】ビバップ編
▶︎関連記事
ゼルダの音楽と旅する那須高原。ブレワイの世界観に浸るおすすめスポット3選
RADWINPSの音楽で歩く「君の名は。」の世界。東京の聖地巡礼スポットを紹介
ライター : Nishiki
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。

この記事へのコメントはありません。