【福島・南相馬】震災後に住民ゼロになった町へライブツアー。ハンバーガーと音楽と、町のいま
こんにちは、studio iotaの前田サキです。
ようやく少し涼しくなってきましたね。
とはいえ、来週はまた30度を超える日もあるらしい(東京の場合)。
まだ夏の続きなのか、もう秋なのか、服装がいまいち決めにくい時期。
そんなことを考えながら、北の方へライブツアーに行ってきた🚗
北の方に行くなら何着ていこうかな、と思ったのも束の間。
福島県南相馬市小高区でのライブ、そして原宿クロコダイルでのワンマンライブを終えてきた🥁🎶
あれから、一週間雨が降り続き、洗濯ができずにいる。
国立音楽大学作曲科卒業。のちに一般大学で心理学の学位を取得。ドラマー、作曲家として活動し、ロンドン、ベルリン、ニューヨークでの演奏経験を重ねる。25リットルのリュックとドラムスティックを携えて世界一周のち、旅・音楽・食を融合させるレコード会社兼出版社「studio iota LLC.」を設立。
2023年には「Gwangju Busking World Cup(韓国)」「Tainan City Music Festival(台湾)」「GLUC Fest(台湾)」に出演。2025年には「Karneval der Kulturen(ドイツ)」にドラマーとして出演。
演奏活動の傍ら、レコード会社経営・BGMライブラリー開発・ブライダルBGM原盤制作と配信・音楽療法・メディア運営・キューバ音楽のフェアトレードなど、現在9つの事業を展開している。
福島・南相馬市小高区。原発事故で住民ゼロになった町へ
南相馬市小高区。 福島第一原発から半径20km圏内にある町だ。
2011年の東日本大震災に伴う原子力災害の影響で避難指示区域に指定され、
全ての住民が避難を余儀なくされた結果、約1万3000人いた居住人口は一時ゼロに。
避難指示が解除されたのは2016年7月。今年でちょうど10年になる。
震災前は約1万3000人が暮らしていた町に、今も戻っている人は3割に届かないらしい。

ライブをしたのは、そんな南相馬市小高区。
…と書くと、わりと重たい旅に聞こえるのですが、
実際に車で走りながら見る町は、思っていたよりずっと賑わっていた。

24時間営業のスーパー、トライアル。夜でも明るい!

福島県浪江町発祥の「なみえ焼そば」は、極太麺が通常の約3倍もある!
小高は、震災で一度住民ゼロになったところから、少しずつ人が戻り、新しく入ってくる人もいる町だ。
地域おこし協力隊などを含め、70人以上が移住しているそうで、かなりフロンティア感がある。(2023年 日テレニュースより)
ライブ会場となったのも、小高で新しく始まったお店だった。
スペシャルティコーヒーとそば粉スイーツの「magenta coffee(マジェンタ コーヒー)」。
Uターンした店主のもとでオープンした一軒だ。店内で焙煎までは行わないそうで、“自分の居場所と、みんなの居場所をつくること”に力を注ぎたいという。
南相馬市小高区は今、移住者70人超のフロンティア
サルトリーヌバーガー。 ツアーの拠点となるハンバーガー屋さんだ🍔
もとは旧塩山薬局という建物を1年半かけてリノベーションした建物。
薬局の看板はそのまま残しつつ、通りに面した間口を広く取って奥の一角をステージに変えたという。

お店をやっているのは、うちのバンドメンバーのハッシー(同市の起業型地域おこし協力隊員の橋本恭佑)。
音楽大学を卒業しバンド活動に打ち込んでいたが、新型コロナ禍で家電を修理する電気工事業に従事。
音大の同級生に誘われて小高でのライブを手伝いに来たのがきっかけで、
住民から「気軽に食べに行けるハンバーガー屋さんが欲しい」という声を聞いて、開業を決めたらしい。
今は南相馬に暮らして、町の人たちと日々関係を積み重ねている。
店名は桃太郎の猿・雉・犬にちなんでいる。
苦難が去り、鳥が幸せを運び、犬が町を守る——そんな意味が込められているのだそうだ。
ハッシー(左)
看板メニューは南相馬バーガー‼️
ベルリン風の味付けで、酸味の少ないクリーミーなマヨネーズが特徴。
去年私たちがベルリンツアーに行ったとき、ハッシーが現地でハンバーガーを食べ歩いて、
マヨネーズに感銘を受けたのが元になってるらしい。
旅の記憶がこんな形で商品になってるのは懐かしいし、嬉しいな〜🇩🇪

食べてみたら、マヨネーズたっぷりで美味しい。
肉がカリカリでパンの香ばしさとのバランスも良くて。シェイクも頼んじゃったよ。
ハンバーガー屋さんなのにライブが見れる。いいですよね🎷

南相馬までの道すがら、ニュースで聞いた町を通って
高速を降りて、南相馬まで走っていく途中で見たのは、
大熊町、双葉町、浪江町。 テレビのニュースで何度も何度も聞いた地名だ。

東京にいると、どうしてもニュースで見た場所の記憶になっているので、
実際に車で走ってみると、急に実感が湧いてくる。

小高交流センターでリハーサル。震災復興のシンボルという場所
ライブ前には、小高交流センターでリハーサル。
震災からの復興のシンボルとして建てられた、多世代が集う交流拠点なのだという。

子育てサロン、フリーWi-Fiの学習室、小高はらっぱ、カフェマルシェ。

\カラオケやバンド活動ができる防音室/

館内には無料のマッサージ機まで置いてあって、休憩時間に食いついてしまった。東京から車で走ってきた腰に染みた🦵
そして、マッサージ機やシャワーの周りにいるのは、高齢者というより圧倒的に学生さん。
こういうところにも、今の小高の雰囲気が出ている気がする。

防音室でリハーサルをしながら、「小高でバンドやる人、いるんだな〜」と、なんだかちょっと嬉しくなる。
館内はきれいで、細やかなところまで手が届いている場所だった♡
近くにあったら毎日来ると思う
温泉でリカバリー♨️ そして「水素水」の謎を追いかけて
ツアーなので、温泉でリカバリーも試みた。
演奏した身体を温泉で回復させる。最高ですな!!
温泉には水素水のサーバーが置いてあって、無料で飲めるようになっている。
美容や健康にいいとされている水らしいので大歓喜。演奏家ってアスリートなのよほんとに。。。

「そういえば、どうして水素水なんだろう?」 と気になり調べてみたら、小高区のお隣の浪江町には「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」があるらしい。
浪江町では、このFH2Rを起点に、水素を活用したまちづくりも進められているそうだ。
南相馬・小高のハンバーガー店、サルトリーヌバーガーでライブ🍔
小高でのライブは初めて。
どんな感じになるかな?と思っていましたが、楽しく演奏できました!
そして終演後。ドラムセットを撤収していたら…… 若いお客さまたちが手伝ってくださった😭🥁
やさしいいいいい!!

ドラムセットって運ぶものが多くて重たいので、
全部合わせるとなかなか引越しのような物量です 笑
それを一緒に運んでくださって、助かりました🙏

旅先で受け取るものと優しさ
見ず知らずの旅のバンドの荷物を、自分よりも若い人たちが運んでくれる。
ありがたいと思うのと同時に、これはハッシーが日々この町で積み重ねてきたものの、おこぼれをいただいたのかもしれない、とも思った。
移住して店を開いて、住民の声に耳を傾けて。一つひとつ築いてきた関係の中に、たまたま通りすがった私たちも入れてもらえた気がする。

なんて言うと、ちょっと格好つけすぎですが。
ハッシーがこの町で築いてきた関係を、プロ奏者の私たちも少し分けてもらったような気がする。
今回は、それが「ドラム搬出のお手伝い」だったのかもしれません。

放射線測定器も、あちこちに。忘れてはいけないこと
放射線測定器は至る所にあった。私たちは忘れてはいけない。
被災地という言葉では、今の小高を言い表せないと感じた。
ワクワクしながらやりたいことを叶えようとしている人たちに出会えた。
また、あの町へツアーに行きたい。
小高、行ってよかったです。 ほんとに良かった。

□ ライター 前田 紗希 □■□■□■□■□■
※本記事は、2026年晩夏のライブツアーで私自身が訪れ、見聞きしたことをもとに記載しています。あくまで一個人の旅の記録として、参考程度にご覧ください。
記事内の一部の表現・事実関係については、報道記事や自治体などの公開情報を参考に、表現をお借りしている箇所もあります。
なお、本記事は特定の政治的主張をするものではありません。
みなさまにとって、良い旅となりますように。
Have a nice trip♪