IOTA-LOG

おとと、たびと、しごと

見つけてくださってありがとうございます!

スタジオイオタ代表の前田紗希です。

 

わたし自身、これまではドラマーとしてライブに立つ側でいることが多かったのですが、

今年はビジネスサイドからインディーを見る年にしようと決めています☺️

不整脈が出るほど音楽ビジネスが怖かった私が、Music Ally Japanへ行って見つける音楽の守り方

 

 

さて、音楽出版社として季節ごとに少し楽しみにしているものがあります。

音楽著作権管理会社から届く、著作権使用料の分配レポート。

契約と分配の流れ – 日本音楽出版社協会

国内分と並んで海外分の明細も届くのですが、一番楽しみにしているのは、海外の国が記載されたページです。

そのレポートを見ながら感じたことを書いてみます!

 

ライター 前田 紗希

国立音楽大学作曲科卒業。のちに一般大学で心理学の学位を取得。ドラマー、作曲家として活動し、ロンドン、ベルリン、ニューヨークでの演奏経験を重ねる。25リットルのリュックとドラムスティックを携えて世界一周のち、旅・音楽・食を融合させるレコード会社兼出版社「studio iota LLC.」を設立。

2023年には「Gwangju Busking World Cup(韓国)」「Tainan City Music Festival(台湾)」「GLUC Fest(台湾)」に出演。2025年には「Karneval der Kulturen(ドイツ)」にドラマーとして出演。

演奏活動の傍ら、レコード会社・音楽出版社経営・BGMライブラリー開発・ブライダルBGM原盤制作と配信・ISUM対応音源の提供・音楽療法・メディア運営・キューバ音楽のフェアトレードなど、現在9つの事業を展開している。また音楽療法士として、音楽療法の普及にも取り組んでいる。

 

 

海外著作権のレポートは、お金とは別の面白さがある

海外🌏で楽曲が利用されると、利用形態や国ごとに分配が行われるので、国名がずらっと並びます。

金額だけを見れば大きなものではありませんが、毎シーズンまずどの国が並んでいるかから見始めます。

ノルウェー、リトアニア、アイルランド…。去年は無かった国が入っていると、それだけで嬉しい😊

 

わたし自身バックパッカーだったので、国名を見るだけでもたまりません🎒

 

20代で最初に海外演奏したのはロンドンでした。

ヨーロッパのアンダーグラウンドなライブシーンを初めて体験して驚いたのが、

観る側も演る側も、飲み代以外の「チャージ料」がかからないことです。

 

たとえば老舗ジャズクラブのロニー・スコッツでは、毎週水曜日にフリーセッションがあって、

ミュージシャンであることを証明できれば入場無料

たまに出演を終えた大物アーティストがそのまま混ざってくる、なんて神展開もあるそうです🎷

 

生の音楽にとても気軽に触れられる文化が根付いているんだな〜と、かなり羨ましく思ったのを覚えています。

ノルウェー、グリューネルロッカ

 

演奏権と録音権

海外の著作権使用料は、大きく二つに分かれています。

🎧 放送やお店で「流れた」ときに発生する演奏権

💿 CDや教材、何かの製品に「収録された」ときに発生する録音権

 

演奏権と録音権は別々に集計され、同じレポートに並んで載ってきます。

流れた」のか、「収録された」のか。 

著作権申請が入った国はバンド内でシェア。
海外からの動きがあるとモチベーション上がるんですよね。 

 

インスト作品は、ヨーロッパとの相性がいい?

弊社はインストゥルメンタル作品を中心にリリースしています。

海外の分配レポートを見ていると、フランス、ドイツ、イギリスを中心に、ヨーロッパからの利用が圧倒的です💪

イギリス、テムズ川近く

 

多いのは西ヨーロッパ

フランス、ドイツ、イギリスが主力で、オランダ、ベルギー、スイス、アイルランドも時々混ざります。

 

次に中央〜東ヨーロッパ

オーストリア、スロバキア、ポーランド、ハンガリー、チェコ、クロアチア、ルーマニア、リトアニアあたりが定期的に入ってきます。

 

北欧・南ヨーロッパでは、イタリア、スペイン、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンからは毎回少しずつ届きます。

デンマーク、ギリシャ、ポルトガルは今のところ一度もありません。(デンマーク、憧れの北欧デザインの国なので、いつか届いてほしい…!)

デンマーク、ルイジアナ近代美術館とワイ

 

アジアは日本のラジオ局と、たまーに中国🇨🇳

それ以外のアジア圏、南米、アフリカ、オセアニアはほぼゼロです。

 

アメリカがほぼ入らないブラックボックス問題

さて、ここで不思議なのがアメリカ

世界最大の音楽市場なのに…。

 

配信の売上レポートではよく見かけるけれど、私のレポートには一度も著作権収入が出てきません

どうして?と思っていました。

米国では著作権管理の仕組みが日本やヨーロッパとはかなり違い、近年は「ブラックボックスマネー(権利者へ分配できない使用料)」も業界で話題になっています。海外作品では権利情報の照合が課題になることがあり、歌詞のないインスト作品も影響を受けやすいという指摘が、少し気になっています。怖い〜! 

 

管理開始から2年。初めて届いたアメリカ

今回初めて、アメリカから演奏利用の分配がありました🇺🇸

著作権管理を始めて2年。

ようやく来た!という感じです😊

ニューヨーク、グリニッジ・ビレッジ近郊 

 

アメリカは権利処理が複雑で報告まで時間がかかると聞いていましたが、けっこう忘れた頃に届きました。

 

演奏利用だけだったという点も興味深いところ。

演奏権の「演奏」とは、生演奏だけではありません🎸例えば、

  • カフェ・レストランのBGM
  • ホテルのロビー
  • ショッピングモール
  • テレビ放送
  • ラジオ放送
  • イベント会場
  • ジム
  • 店舗BGM
  • 機内BGM

 

なども含まれます。

インディーのインストでも、相性が良さそうかなと思っています。

 

忘れた頃に届くのが海外印税の醍醐味ですね。

 

インドネシアからの録音利用も初めて

アジア圏では初めてインドネシアから録音利用の分配も届きました🇮🇩

アメリカもインドネシアも、どちらも日本では教育楽器として知られる鍵盤ハーモニカが主役のインスト作品です。

 

インドネシアでは学校教育などで鍵盤ハーモニカが比較的普及しているそうです。

インドネシア鍵盤ハーモニカ協会(Asosiasi Pengajar Seni Melodika Indonesia)を発見!

日本人奏者を招いた研修会も開催しています。

 

カリマンタン島、上空(だったかな)

 

録音利用だったので、何らかの製品やコンテンツに収録されたのかな?と想像しています。

 

ちなみにレポートからはどんな場面で使われたのかまでは分かりません😊

でも、国別だけでなく「楽器によって届きやすい地域があるのかな?」と考えるきっかけにはなりました。

 

次の四半期はまた違う国が増えているかもしれません。(減ることもある笑)

鍵盤ハーモニカ メロディオン

 

「完成した作品」と「流通した作品」は、10年後が違う

音楽家という仕事を続けていて感じるのは、

作品には「完成」とは別に、「流通」というスタートラインがあることです✍️

 

海外で利用されていた作品の中には、10年以上前にリリースしたアルバムも含まれていました。

当時は大ヒットした作品ではありません😊

それが今になって、世界10カ国以上から少しずつ著作権収入が届いています。

✨🌏

完成したまま自分の手元にWAVを置いておくこともできます。

でも、流通に乗せた作品には、自分の手元を離れて誰かの生活や仕事の中で生き続ける可能性があります!

湘南ドライブソングをテーマにした、弊レーベルのオムニバスアルバム。
これがなんか、いろんな国で聞かれてるんですよね。 

 

独立系インディーだからこそ、作品をカタログとして育てたい

インディーで活動しているとまぁ、初動の数字は気になりますよね。

制作費を回収しなければ次の作品は作れません。なにせインディーだから。

それでも私は、一作ごとのヒットだけを追いかけるより、時間をかけてカタログを育てるレーベルでありたいと思っています。

 

10年前のインスト作品が、今も海外のホテルやカフェ、テレビ番組や施設のBGMとして流れているかもしれない。

うん、胸がいっぱい!!

作り続けてきて良かった〜と思える大きなきっかけです。

 

スキルを持っている人には、ぜひ作品を世の中へ送り出してほしいです。

10年後、思いもしなかった国から、レポートが届くかもしれません🌏

 

※ドラマーとして、またレーベル運営者として日々感じていることを書いた、個人の考察メモです。

インディー業界全体の見解や総意を代表するものではありません。

現場で気になったこと、面白いと思ったことを、そのまま言葉にしています🎹

 

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