不整脈が出るほど音楽ビジネスが怖かった私が、Music Ally Japanへ行って見つける音楽の守り方
見つけてくださってありがとうございます!
スタジオイオタ(studio iota LLC.)代表の前田紗希です。
音楽ビジネスの専門カンファレンス、Music Ally Japan 2026へ行ってきました!
国立音楽大学作曲科卒業。のちに一般大学で心理学の学位を取得。ドラマー、作曲家として活動し、ロンドン、ベルリン、ニューヨークでの演奏経験を重ねる。25リットルのリュックとドラムスティックを携えて世界一周のち、旅・音楽・食を融合させるレコード会社兼出版社「studio iota LLC.」を設立。
2023年には「Gwangju Busking World Cup(韓国)」「Tainan City Music Festival(台湾)」「GLUC Fest(台湾)」に出演。2025年には「Karneval der Kulturen(ドイツ)」にドラマーとして出演。
演奏活動の傍ら、現在9つの事業を展開している。また音楽療法士として、音楽療法の普及にも取り組んでいる。
5月にしてはかなり暑い日でした。
半袖の人が目立つ中、会場は原宿駅前にあるWITH HARAJUKUのホール。
ビルに入ると人が少なめで、テラスもあって涼やか。外の喧騒とは少し切り離された空気🌳
ゲートを進んで、渡されたパスを首にかけます。
青い素敵なトートバッグも配っていたのですが、もらい損ねました😂
そんな感じで、Music Ally Japanに入ってきました。今回は、そこで考えたことを整理して書いてみます。

Music Ally Japanとはどんな場所か
ロンドン発の音楽ビジネス専門組織Music Allyの日本版で、2019年から活動。
レーベル、ディストリビューター、DSP(SpotifyやApple Musicのような配信サービス)、マーケター、音楽テックのスタートアップなどが集まって、世界に通用する音楽ビジネス・スキルを学ぶカンファレンスです。
今年のテーマは、
日本の音楽の強みを理解する〜代替不可能な価値に繋げる設計法〜
サブスクやスーパーファンといった従来の論点に加え、
音楽IP・カタログ資産・著作権ビジネス・AI時代の音楽マーケティング・カタログ売買の最前線・
ジャンル戦略の再設計・グローバル市場における日本の音楽の価値設計などなど。
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私はこれまでドラマー・作曲家として現場側から音楽に関わることが多く、
こういう音楽ビジネスのど真ん中の空間に入るのは、正直かなり珍しいタイプです。
今年からILCJ(インディペンデント・レーベル協議会)の理事会に座らせてもらうようになり、
今回はじめて完全にビジネス側として足を運びました。
行く前から、身体が正直でした。イベントの前日から不整脈が出て、夜中に何度も目が覚めて、ホラー映画みたいな夢を見ました。ホラーは普段まったく見ないのに。
どうやら私の自律神経は、慣れない仕事に入る前に毎回全力でアラートを出すらしい。

音楽を守るためにビジネスを知る、という葛藤
自分の仕事と、どこで地平がつながるか
単純に勉強になった!というのもそうなんですが、
自分の仕事と今の音楽ビジネスが、どこで接続して、どこでズレているのか
それがクリアに見えてくる一日でした👀
いま実務的に刺さるのは、メタデータ周りと著作権カタログ売買です。
メタデータ戦略については、レコチョクさんのウェビナーにも参加したことがあります!
以前、音楽のフェアトレードに関する記事にも書かせてもらいましたが、
鎌倉のカフェの実店舗が持っている300曲近い楽曲群を配信化する取り組みをやっていて。
音楽単体ではなく、地方創生やライフスタイルと音楽を掛け合わせた「埋もれた音源」の再発(リイシュー)。
あれって単なる配信登録じゃない!と言いたくて。音楽IPとカタログ資産のデザインでもあります。
誰がどういう場面で聴きたくなるのか、どう検索されるのか、
将来どう二次利用されるのか、海外からどう認識されるのか——。
マニアックな音楽を、一般人の方に届けやすい形に変換する作業でもある。
Music Ally Japanでまさにその流通の整備の話が出てきて、
地続きだ!とテンションが上がりました。(同時に自分の無力さも感じる)。
あらためて、「埋もれた音源」の再発(リイシュー) について
ケルト音楽やアフリカ系など、すごく良い作品があり、カタログ化もされているのに、
コミュニティの中で完結していて、ほとんど流通していない。
そこで、過去の音源をお預かりし、
- マスタリングの再調整
- メタデータ整備
- デジタル配信への登録
といった形で、300曲ほどをデジタル配信に繋げました。
という形で発信をしたところ、埋もれていた音源がちゃんと再生され、収益にも繋がりました。
存在しているのに聴かれていない音楽を、どう届けるか。
もしこのちょっと酔狂な取り組み、いいなと思っていただけたら、
noteでご支援(500円)いただけると嬉しいです。

小規模レーベルなのに、なぜ音楽出版社を持っているのか
わたしの会社はレコード会社だけでなく、音楽出版社としての機能も持っています。
原盤権・著作権・著作隣接権・カタログ管理を自社で見ている。
カンファレンスではマネジメントやエージェンシー側の話も多かったのですが、
1つの作品(商品)を売るために、マーケットの共通言語にとらわれすぎずに、
まず自分が何を守りたいかをポジティブに持っている必要があるんだな、とあらためて感じました。
そのうえでたくさんの視点で「アーティストの活動をバックアップしていくこと」が当たり前になるといいですよね。
バズとは違う場所にある音楽
スーパーファン
私がずっとやってきたのは、
- インストゥルメンタル音楽
- 音楽療法
- ブライダルBGM
- 南米ジャズの輸入
- カフェの実店舗によるBGM
など、
暮らしの中で使っていただける音楽です。
共通しているのは、演奏家ファーストで作られていること。
歌が全面に出るインパクトや、バズが目的ではなく、派手ではないけれど、空間と人に寄り添うために存在している音楽を信じてやっています☺️。
そのために「手が届く範囲のインディペンデント」という規模を取っています。
🟧関連記事
インディペンデントレーベルの精神については、ULTRA-VYBE 40周年イベントのレポートで詳しく書いています
*
だから音楽ビジネスの場で繰り返し出てきたスーパーファン・コミュニティ・体験価値というキーワードが、
一見遠いようでいてけっこう接続している気がしました。
今後も掘り下げたいテーマです。

音楽を語る場所とひと
楽譜が読めるかどうかって関係なかった
トークセッションで印象的だったのは、「1曲を届けるために必要な工程は本当に多く、1〜2人では難しい」という言葉。
ほぼ少人数で回しているので、やっぱり全部ひとりでは限界あるよな……😂 と、リアルに喰らいました。
仲間に投稿をシェアしてもらうだけでも難しい時代に、チーム前提の戦略論を聞くと、
なかなか刺さるものがあります。
あらためてstudio iota LLC. について
音楽制作から流通までを担うレコード会社・音楽出版社
簡単に自己紹介から。
私は3歳からピアノを弾いてきて、普段、ミュージシャンとして活動しながら、studio iota 合同会社という会社を運営しています。
事業としては、レコード会社と音楽出版社を軸に、
音楽の企画・制作・流通までを一貫して行っています。
ピアノインストやジャズを中心としたインストゥルメンタル音楽の原盤制作を主に、
店舗BGM、ウェディング音楽、音楽療法など、暮らしの中で使われる音楽をつくる仕事が多いです。
基本は一人で運営しつつ、案件ごとに外部の方とチームを組む形です。
それと個人的に新鮮だったのが、楽譜を読めない・読まない方たちが、
音楽をデータや数字で分析して話していること。
私は3歳からピアノをやって、音大という閉ざされた世界で作曲を学ぶなど、
生き様として音楽に入ってきた人間なので、
同じ音楽の話をしていても見えている景色が違う。
その違い自体が「1曲を届けるために」は必要で、
むしろ個々の視点が価値になっているんだなと知りました。

芸術家のまま、業界を理解したいのは欲張り?
自分の作った大切な音楽を、どうやって『適切に』お金に変えて、
次の創作の自由を守るかという答え
私は完全なビジネス人間ではありません。(むしろ自律神経が持たない😂)
でも年齢を重ねるごとに、
音楽を作るだけでは、音楽を守る力が足りなくなってきている、
というのはリアルに感じていて。

自分のスタンスは変わらないまま、業界の最前線では何が起きているのか、何が課題になっているのかを、
少しずつ把握していきたいと思っています。それが今の目的です☺️
機会をくださったILCJ(インディペンデント・レーベル協議会)の皆さま、ありがとうございました〜〜!
音楽の仕事だ。
※ドラマーとして、またレーベル運営者として日々感じていることを書いた、個人の考察メモです。
インディー業界全体の見解や総意を代表するものではありません。
音楽の現場にいるからこそ気になること、課題に感じること、面白いと思うことを、そのまま言葉にしています🥁

